マンションにおける工事について
私たちが居住するマンションは「分譲マンション」であり基本的には「区分所有者」が「区分所有権」に基づき居住する 「集合住宅」 であります。。
難しく言えば 「建物の区分所有等に関する法律」 第30条の規定により、 いわ ゆる「管理規約」 を設け 「区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を 確保することを目的としています。 そして円滑な共同生活を維持するため、使用細則、並びに運営細則 (規約) を定め、 総会決議を遵守せねばならないと あります。 また区分所有者全員でもって 「管理組合」 を構成するとあります。
そのうえで「管理組合」 がその責任と負担において敷地および共有部分等の管理を行うとあります。 (* 管理組合を運営するのが選ばれた理事で構成する理事会でありその代表が理事長です。)
管理組合はマンションの共有部分の 「管理」に「責任」を負います。
区分所有者は専有部分の管理に「責任」を負います。
「工事」はここに存在します。 専有部分の工事にしても共有部分の工事にしろマンションが集合住宅である以上互いに協力して初めて 「めでたし、めでたし」です。ただ共有部分の工事についてはその原資が問題になったり、工事の必要性等が問題になりますが 「人間」ですから色々な考えがあることは否めません。
とにかく、話し合いが重要です。 それには工事を提起する側が十分な資料を示し話し合い、コミュニケーションの積み重ねが必要と思います。
今回の工事について
今回の工事案件に至るには39期総会において床下排水管の改修工事が25系統一括改修工事として計上されましたが諸事情により 「時期尚早」 との理由で次期理事会に持ち越し懸案事項となりました。 その後現理事会において床下排水管の改修工事が検討されました。
その結果
(1) 排水管については一般劣化時期を超えている。
(2) その後不具合により工事した床下排水管の改修工事で管の劣化状況の実態を確認した。
(3) 床下排水管の改修工事の必要性を認識したが25系統一括工事とするのなら経済的にも縦管を一括工事すべきとの意見が大勢を占めた為、管理会社設備部とも相談の上本格的に縦管の取替え工事を研究し始めたものである。 結果理事会に専門家を招き意見も聴き今日に至ったものである。
工事実行について
一言でいえば「排水設備」の劣化に伴う 「取替え」 工事です。 工事そのものは「設備の劣化の取替え」 であり当然の事と思います。 ちなみに当マンションの排水管設備は建設当初より全面改善工事の記録は無く取替え時期はむしろ遅いと思います。
今回の工事にかかるメリット・デメリット
メリット
(1)排水管の改修工事はいづれ着工せねばなりません。 今回縦 管工事を同時採用することで床下排水管の改修工事は必要なくなり、 経済効果が望めます。
(2) 国土交通省の耐震補強要請にも協力出来る。
(3) なりより配管劣化の心配が軽減出来、 配管破裂等の緊急工事が回避出来ます。。
デメリット
(1)工事期間中は区分所有者に在宅の協力が必要です。
(2) 区分所有者の専有部分に工事作業が及ぶ場合もある。
(3) 特筆すべきは該当する系統の1階居住者の専有部分に工事が及ぶことになり協力を求めることとなる。
具体的工事例について
(1) 今回の工事については縦管3本 (系統によっては2本、トイレ排水管、バス排水管・台所排水管)を取替え1階で床下排水管と連結します。
(2) 各縦管にはジョイント取付工事が含まれ各系統毎1階~7階まで行います。(希望により横管との接続工事あります) (3) 各系統1階部分につきましては床部分剥ぎ取り工事があります。 各系統1階~7階までが工事範囲になりますので各系統各階の協力が必要となります。
工事についての同意
私たちが居住するマンションはご存知のように 「分譲マンション」です。一般的に「固定資産税」を納税する 「専有部分」 を所有する、まぎれもない区分所有者です。 その専有部分を工事するには、当然所有者の承認は必要です。 理事会が云々は別問題です。 ただし規約により 「専有部分」 と 「共有部分」が 設定され使用細則、 も設定されて生活基範を制限しておりますので区分所有者 といえども制限があります。 単なる共有部分の工事では区分所有者の方々に比 較的「同意」は得られ易いのですが今回のように 「専有部分」 にも及ぶ工事については工事着工以前に十分なコミュニケーションの積み重ねによる「同意」が必要かと存じます。 どうかご理解ください。
今回の工事についての特徴
今回の工事は簡単にいえば区分所有者の皆様に格別のご理解、ご協力が不可欠 な工事だと言うことです。 それと配管そのものが劣化限界に達していると言うことです。
待ったなしです。
どこかの系統で配管破裂が発生したことを想像してください。 1階から7階までどのようなことになるか大変です。 そのような工事はしなくとも発生した必要な時にすればいいと言うのも一案ですが、当マンションでの給排水設備が絡む漏水事故の防止は看過出来ない事態です。 そしてその防止は管理組合の義務でもあります。
今回の工事にかかる費用の原資について
今回の工事については皆様からお預かりいたしております 「修繕積立金」を予定いたしておりますが、 この件につきましては、 見積りが出ていない以上なんとも言い難いのがネックです。 会計とも相談し、しっかりと対応いたしたく思っています。管理組合を法人化して借入という手もありますがそれは考えて居りません。 いずれにしてもこの工事だけでなく予算案はしっかりと計算の上総会にてお示しいたしたく存じます。
取り越し苦労
最近よく耳にする事があります。 それは縦管工事の後にやたら水漏れが多く業者泣かせだというのです。 どうやら縦管と横管のつなぎ目の辺が原因らしく、業者によっては工事後の水漏れについては一切責任を持たないとの一筆を入れるものもいるようです。